氷見市生きた景観
マネジメントプロジェクト
生きた景観をつくる
- 期間
- 2022年4月~
概要
富山県氷見市の高速道路のインターチェンジから海に向かって走る国道415号。ここの沿道を景観重点地区に指定するにあたり、生きた景観づくりのプロジェクトが始まりました。生きた景観とは、生き生きとあるまちを物語る景観のことです。そのような景観づくりにおいては、建物や看板などのハード面の規制・誘導をするだけでなく、そこに暮らす人々の営みや活動がいきいきと表出することが重要です。そのため、景観をつくり育てるための景観マネジメントの主体形成が求められています。私たちは、行政、市民、地元企業などの多様な主体が能動的に生きた景観を創出するための方法論の構築を目的にプロジェクトに取り組んでいます。
実証実験から生まれる氷見らしい生きた景観
本プロジェクトは、2022年度から始まり、複数年度に渡り実施されています。1年目(2022年度)は、複数回の市民ワークショップが開催され、対象地区周辺の将来の景観まちづくりに向けて活用できそうな場所やものを話し合いました。その後、実証実験として、対象地区にて、マルシェや子ども向けの落書きイベントを実施しました。2年目(2023年度)は、「市民のやってみたいを実現する」をテーマに市民ワークショップを行い、アイデアを募り、実際にまちで実行しました。市民が主催した音楽フェスや街路に設置するプランターづくりワークショップが行われました。1年目は事務局が先導して企画したのに対し、2年目は市民が主体的に企画を行いました。これまでの実証実験や市民ワークショップを通じて、市民自身が主体性を持ち、氷見の景観を良くしていくという気運が高まりました。
高校生がつくる生きた景観
私たちは、氷見高校の探究学習の授業の伴走支援を行うことで、氷見高校生と共に「生きた景観」の創出を目指し、プロジェクトを進めています。具体的には、企画・準備・実践の各段階でアドバイスをしたり、地域企業とのマッチングを行ったりしています。高校生と商店街や沿道のまちあるきを行い、「街灯が少なく夜に歩くには暗いこと」や「バス停のベンチが老朽化しており、座りたいと思えない」といった課題を抽出しました。これを基に、自分達でできる解決策を考え、氷見の寒ブリをモチーフにしたランタンづくりや、HIMIの文字を生かしたデザインのベンチを制作しました。高校生たちは、「氷見のことを何も知らない」と声にすることも多く、景観まちづくりの実践を通して地域のことを知る貴重な機会となっています。さらに、将来の氷見を担う高校生がまちを考えることにより、将来の地域の担い手育成にもつながると考えています。
(文:森豪大)