能越の震災復興〜ひみ里山スギ板倉の家プロジェクト〜
建築文化を守る復興住宅モデルをつくる
- 期間
- 2024年7月〜
「里山スギ板倉の家」プロジェクトに携わりながら、板倉の家の魅力や知識を発信していくプロジェクトです。
「里山スギ板倉の家」プロジェクトは、氷見市における板倉構法による復興住宅建設プロジェクトです。板倉の家とは、地元に豊富にある杉を活用して、柱と柱の間に厚板を落とし込んでつくる、耐震性・防火性・温熱環境に優れた住宅です。現在、地産の「ひみ里山杉」等の国産材を用い、里山建築研究所、NPO法人とやまの木で家をつくる会、岸田木材、設計工房MandM、富山大学籔谷研究室が協働し、施主の協力のもとモデル住宅としても活用する第一号を建設しています。この住宅では、被災した住宅の瓦、梁、建具をレスキューし、再利用することも試みています。
震災復興では、ハウスメーカー等の工業化住宅群が建設されることによる、地域固有の建築文化の衰退が課題となっています。その点において板倉の家は、地元の職人、地元の建築家、地元の施工者、地元の材料を使って建てることで、地域の建築文化の保存、地場産業支援、里山保全、大工の技術継承など、さまざまな意義を持っています。このプロジェクトによって、里山を守りながら暮らしの質を高める板倉の家の意義や魅力を広めていきたいと考えています。
籔谷研究室は、このプロジェクトの広報を担当します。建設プロセスのレポート、講習会、見学会、ワークショップを開催し、住宅再建を考えている被災者に板倉の家の魅力を発信するとともに、地元の設計士、工務店、製材所などの技術者にも知識・ノウハウを伝えることで、地元の生産体制を構築し、板倉の家を普及させることを目指しています。
(文:田中千晴)