「GEIBUN17」卒業・修了研究制作紹介 No.5 臼井裕理
2026.03.07
芸術文化学科 学部4年 臼井 裕理
卒業制作「伏線を張り、巡らすー建築における「伏線」の空間構成に着目してー」、副論文「美術館建築における「伏線」の空間構成」の展示を高岡市美術館で行っています。
美術館を訪れた際に、展示室を巡る中で、ガラス越しに展示室の裏側が見え、いつ辿り着くのだろうか、展示室の中はどのようになっているのだろうかという期待感を感じた。後に辿り着いた空間が、先ほど裏側から見た展示室であることに気が付いた時、その空間における美術品の鑑賞が記憶に強く残るという体験をしたことがありました。この体験から、物語などに使われている「伏線」が建築に使われているのではないか?と考えたのが研究の始まりです(図1)。本研究では、図1のような体験をもたらす手法、つまり「後に辿り着く空間をあらかじめそれとなく見せておく構成の手法」を建築における「伏線」と定義しました。「伏線」は、展示室をどのように見せるか、どのように辿り着くかの2つで構成されていることが明らかになり、どのように見せるか、どのように辿り着くかの組み合わせで6パターンを得ることができました。パターンごとに展示室の示唆の強さや示唆された時と到達した時の展示室に対する認知の差異についての考察も行いました。

図1 建築における「伏線」
制作では、富山県氷見市のふれあいの森に位置する親水園を敷地とし、現代美術館の設計を行いました。研究で得た「伏線」のパターンと、研究内で数が少なくパターンとして扱えなかった「伏線」を新たに加え、設計に用いています。美術館に伏線を張り巡らすことで、展示室への期待感を高めたり、展示作品に興味を持ってもらったりすることで、巡りたくなる、そんな新しい美術館を提案しています。



4年間の大学生活の中で建築を学び、実際に空間を体験する中で、空間の作り方一つや目的地に辿り着くまでの空間が、いかにその後の展示作品の鑑賞のような訪れる目的を豊かなものにし、記憶に残るものにするか、ということを何度も感じました。勿論、展示作品が鑑賞体験にもたらす影響は大きいと思います。しかし、展示作品の形態に関わらない、展示室に辿り着くまでの建築のもたらす空間体験が鑑賞体験をより面白くすることができるのではないか?ということを示せたら良いなと思っています。私自身が4年間の大学生活を通して学び、感じた建築の面白さを少しでも感じて頂けたら幸いです。
本研究・制作にあたり、籔谷先生をはじめ、籔谷研究室の先輩と同期の皆様、建築の後輩と多くの方々にお力添えをいただきました。深く感謝申し上げます。
会期|
2026年2月27日(金)〜 3月7日(日)9:30〜17:00(入館入場は16:30まで)
※2月2日(月)は休館
会場|
第1会場:高岡市美術館、第2会場:富山大学高岡キャンパス