「GEIBUN16」卒業・修了研究制作紹介 No.6 田中千晴

2025.02.13

芸術文化学部芸術文化学科建築デザインコース 学部4年 田中 千晴

私は、「Open Level-住宅地景観における段階的開放手法の提案-」と題した卒業研究に取り組みました。また、「街に開いた家開き住宅における居住者の生活実態」というテーマで副論文の執筆を行いました。これらの研究の成果物が高岡市美術館にて展示されています。

家開き住宅とは「家族以外の不特定多数に開放されることが想定されている空間を持つ住宅」のことを指します。家開き住宅の中には、ギャラリーやカフェのように商業的な開かれ方もあれば、イベントスペースのように交流を目的とした開かれ方もみられます。本研究は、家開き住宅の内外の視覚的なつながりが意識されたデザインの特徴に着目し、家開き住宅では人々の暮らしの様子が通りへと表出し住宅地のいきいきとした景観に寄与する、という仮説のもとスタートしました。調査では、家開き住宅の居住者の方々にヒアリング調査を行い、居住者の方が日常的にどのような生活をしているのかを明らかにしました。設計では、家開き住宅の居住者の方それぞれの暮らしを開放できる度合いに合わせた、段階的な開放手法”0pen Level”を提案しました。3つの開口レベルと3つの建築的操作から成る手法をカード化し、住み手と設計者を繋ぐツールとなることを目指しています。さらに、Open Levelの効果検証として、高岡市向野町の1つの通りを対象に戸建て住宅10軒のケーススタディを行い、暮らしが表出した住宅が1つの通りに建ち並ぶことでどのような住宅地の景観を作り出せるのか、検証しました。

本来、住宅とはプライバシーが守られる場所であって、閉鎖性が強いデザインが主流となっています。そんな当たり前に閉じているものを開くことに抵抗を感じる人も多いと思います。そういった抵抗を持っている人や、住宅とは閉じるもの、と考えている方に、住宅の中に暮らしを街に開く場所があることでいきいきとした楽しい景観が生まれるということを示せたらいいなと思っています。

本研究を進めるにあたって、たくさんの方に支えていただきました。ヒアリング調査を快く引き受けてくださった家開き住宅の居住者の方々、研究・設計通してご助言いただいた籔谷先生、毎週のゼミや普段の生活でアドバイスや励ましをくれた籔谷研究室のみなさん、模型制作をたくさん手伝ってくれた後輩のみんな、みなさんのおかげで無事に展示を迎えることができました。本当にありがとうございました!

これからも色々な方法で家を開くことの魅力を広めていきたいと思っています!頑張ります!

会期|
2025年2月8日(土)〜 2月16日(日)9:30〜17:00(入館入場は16:30まで)
※2月10日(月)は休館

会場|
第1会場:高岡市美術館、第2会場:富山大学高岡キャンパス