吉久サインプロジェクト
サインによって街の魅力を顕在化する
- 期間
- 2022年4月~
概要
富山県高岡市吉久は、2020年に重要伝統的建造物群保存地区(以下、重伝建)に選定されたことで、来訪者が増加しつつあります。それにより、地域内を案内するサインの体系的な整理と掲載情報の更新の必要性が高まり、2022年から本プロジェクトが始動しました。
本プロジェクトで大切にしていることは、専門家だけで進めるのではなく、吉久の地域住民と協働で取り組むことです。それにより、文献からでは把握できない地域の情報を補うことに加え、地域住民から様々なエピソードを収集し、今なお残る吉久の人々の暮らしを伝えるサインとすることを目指しました。さらに、参加する地域住民のまちづくりへの関心を醸成することも狙いとしてあります。
2022年度は、サインの掲載内容、位置、サイン全体の体系化を検討するサイン計画を行いました。そのプロセスにおいて、全住民を対象とした吉久の魅力に関するアンケート調査や、有志の地域住民と議論するサインチーム活動、全住民を対象とした計画案の報告会・冊子の配布といった地域住民との様々な協働を行いました。2023年度以降は、その計画をもとに具体的なサインデザインに取り組んでいます。
住民と協働してつくる、物語性のあるサイン計画
本計画では、まず吉久の魅力に関するアンケート調査を行うことで、住民による現在から過去に至るまで様々なエピソードの詰まった魅力情報を集めることができました。その後は、アンケート調査にて募集した有志住民を交えたサインチーム活動に取り組みました。サインチーム活動では、地域住民も楽しめるサインとすることを大切にしながら、案内するスポットやモデルルート、それらを元にしたサインの配置計画・表記計画を行いました。このように多様な協働によって、魅力情報の充実だけではなく、地域住民の思いを感じられる温かみのあるサイン計画とすることができ、参加した有志住民のまちづくりへの関心や参加意識の向上にも繋がりました。
実寸大で検証するサインデザイン
2022年度に取り組んだサイン計画をもとに、2023年度からはサインデザインに取り組んでいます。歴史的な町並みの趣と地域住民の生活の残る親密さを持ち合わせている吉久において、サインの分かりやすさ・親しみやすさと町並みとの調和を両立することは非常に重要です。そこで、サインの基準寸法を参照しつつ、モックアップを実際にまちに仮設し、実寸大で検証することを大切にしています。また、地域の夏祭りやワークショップにおいてもモックアップを公開することで、住民からの意見収集とともに、このプロジェクトの周知を行いました。
(文:北島陽貴)