【展覧会】Meets GEIBUN 第40回企画展「GEIBUN ARCHITECTURE展 vol.5|人と古材の結び目に−『氷見古材KNOT WORK』の実践」を開催します

2026.03.20

 3月21日(土)から5月31日(日)まで、三井アウトレットパーク 北陸小矢部 2F「Meets GEIBUN」にて、【展覧会】Meets GEIBUN 第40回企画展「GEIBUN ARCHITECTURE展 vol.5|人と古材の結び目に−『氷見古材KNOTWORK』の実践」を開催します。

 本展では、私が修士研究として関わっている「氷見古材KNOTWORK」の活動を紹介するとともに、救出した古材を活用した作品・什器を展示しています。

 「氷見古材KNOTWORK」は、考えるパンKOPPE、東工業、東京科学大学・東京都立大学 能作文徳研究室、富山大学 籔谷祐介研究室など、複数の団体が連携して行っている活動です。能登半島地震により解体を余儀なくされた伝統的家屋から、床板や建具、構造材などの古材を救出し、保管・販売を通じて、次の使い手へとつないでいます。

 今回の展示では、平川 大(Da h)さんによる木製ハープ、能作研究室の皆さんとAOIKE高等学校の高校生がワークショップで制作したスツールとランプシェード、そして、私と氷見市久目に工房を構えるものづくりユニット・佳雨さんとの共同制作による椅子を展示しています。
また、作品だけでなく、救出した建具や敷居、鴨居、床板を活用した什器も設計・制作しました。ぜひあわせてご覧ください。

建物・所有者の記憶を受け継ぐ椅子の制作

 私は修士研究の一環として、古材を活用した家具の制作に取り組んでいます。
ただ古材を家具へと作り替えるのではなく、レスキューした建物の所有者の方にヒアリングを行い、そこで語られた思い出や、建物・古材そのものの特徴を手がかりに、椅子の設計・制作を行っています。

 今回制作した椅子のテーマは、「川風を感じる椅子」です。

 ヒアリングの際、所有者の方から、「建物の近くに川があり、部屋の窓から入ってくる川風が心地よかった」というお話を伺いました。
また、建物の写真を見せていただいた際、室内に低い窓が設けられていたことも印象に残りました。
そこから、窓辺で川を眺めながら、風を感じてゆったりと過ごす情景を思い描き、それをもとに椅子をかたちにしました。

 椅子にはスリットを設け、風が抜けるようなデザインとしています。
また、古材をできるだけ活かすため、材の幅は変えず、そのまま使用しました。材を2枚並べることで、一般的な椅子よりも少し広めの座面となっていますが、そのゆとりが「ゆったり過ごす」というコンセプトにもつながっています。さらに、今回使用した古材は、表と裏で色味が異なることも特徴でした。
そのため、椅子も見る方向によって異なる表情を見せます。ぜひ実際にご覧いただき、古材ならではの魅力を感じていただけたら嬉しいです。

展示準備を通して感じたこと

 今回の展示準備を進めるにあたり、本当に多くの方に支えていただきました。
準備を始めるのが遅くなってしまったこともあり、「本当に展示ができるのだろうか」と不安になり、思わず涙が出てしまうこともありました。そんな時に、籔谷先生をはじめ研究室の皆さんが励ましてくださり、大きな支えになりました。ありがとうございました。

 また、共同制作を行った佳雨さんからは、家具の構造や木材について多くのことを教えていただきました。
研究のことを最初に相談しに伺った時には、自分の考えた椅子が本当にかたちになるのか不安もありましたが、「諦めずにこだわりを持ってつくる」といった、ものづくりに向き合う姿勢を学ばせていただきました。

 そして、什器制作にご協力いただいた東工業さんや大谷組さんには、短期間の中で什器を制作していただき、本当に感謝しています。

 古材レスキューの活動に関わって約1年が経ち、改めて多くの学びがあったと感じています。
実際に解体作業に参加することで、建物のつくりだけでなく、昔の建物が、材を再利用できるようにつくられていたことにも気づかされました。材を循環させる建築のあり方を、これから改めて考えていく必要があると実感しています。

 また、所有者の方へのヒアリングを通して、記憶や思い出を振り返り、それを言葉にすることの大切さも強く感じました。
地震によって解体を余儀なくされた建物について、「できれば(建物を)手放したくなかった」というお話を伺う中で、被災によるつらい記憶も、その人やその家の歴史の一部であり、簡単になかったことにはできないのだと実感しました。そのような経験を通して、楽しかったことや嬉しかったことだけでなく、大変だったことや報われなかった思いもまた、自分を形づくる一部なのだと感じるようになりました。振り返り、言葉にすることを通して、自分が何を大切にしたいのかを少しずつ見つめ直せたように思います。

 今年度は、椅子の制作や展示に加えて、さまざまな活動に取り組むことができ、自分自身が大きく成長できた1年だったと感じています。修士2年でも、さらに学びを深めながら、挑戦を続けていきたいと思います。

 作品はもちろん、什器を含めた展示空間全体にも見どころがあります。ぜひ会場でご覧いただけたら嬉しいです。

[展覧会]

Meets GEIBUN 第40回企画展
「GEIBUN ARCHITECTURE展 vol.5 |人と古材の結び目に−『氷見古材KNOTWORK』の実践」

[会期]

2026年3月21日(土)~2026年5月31日(日) 10:00~20:00

※会場では一部入場制限エリアを設けさせていただく場合があります。

[会場]

Meets GEIBUN(三井アウトレットパーク 北陸小矢部 2F)
三井アウトレットパーク 北陸小矢部
〒932-8538 富山県小矢部市西中野972-1

[観覧料]

観覧無料

[作品]

・「氷見古材KNOTWORK」の活動紹介

・古材を活用したスツール、照明、椅子、楽器の展示

作家:平川 大(Da h)、東京科学大学能作研究室・学校法人青池学園AOIKE高等学校、黒山真樹(富山大学 籔谷研究室)、佳雨

・古材を活用した空間デザイン(古材と建具を活用したオリジナル什器)

・古材を活用した空間デザイン(古材と建具を活用したオリジナル什器)

[出品]

 平川 大(Da h)、東京科学大学能作研究室、学校法人青池学園AOIKE高等学校、黒山真樹(富山大学 籔谷研究室)、佳雨

[グラフィック]

渡邉雅志(芸術文化学系 准教授・Meets GEIBUNコーディネーター)

[問合せ] 

国立大学法人富山大学 五福高岡地区事務部 芸術系総務・学務課 地域連携担当

TEL:0766-25-9138

MAIL:tiikiko(a)adm.u-toyama.ac.jp 

※(a)は@に置き換えてください

国立大学法人富山大学 研究推進部 産学共創課

TEL:076-445-6392

[関連リンク] 

【キャンパスライフ】産官学「Meets GEIBUN」

Instagram:Meets GEIBUN(@meetsgeibun)

(文:黒山真樹)