「GEIBUN17」卒業・修了研究制作紹介 No.2 伊藤夏希

2026.03.06

芸術文化学科 学部4年 伊藤 夏希

「CSAを実践する農場の継続性―地域性・運営形態の異なる3事例を対象として―」と題した卒業研究に取り組み、その成果を高岡市美術館にて展示します。

近年、日本の農業では担い手不足や高齢化、食料自給率の低下といった課題が指摘されています。そのような中、生産者と消費者が直接つながり、農業を支える仕組みとしてCSA(Community Supported Agriculture)が注目されています。しかし、支え合いを前提とした仕組みであっても、すべての事例が継続されているわけではありません。CSAが「続く」事例と「休止に至る」事例の違いはどこにあるのか。実際の現場では、どのような条件のもとでCSAが成り立っているのかという点に関心を持ち、本研究に取り組みました。

そこで、本研究では、地域性と運営主体の異なる3つのCSAを対象に、運営者および消費者への半構造化ヒアリング調査を行い、特に運営側の導入背景・運営実践・消費者との関係性・継続/休止要因の視点から分析しました。
調査を通して、CSAの継続・休止には、運営側と消費者の関わり方、CSAに取り組む目的、運営上の負担の捉え方といった要素が相互に関係していることが明らかになりました。
特に、運営側にとって消費者との関係性が農業を続けるやりがいとして受け止められている場合には、CSAの継続につながる一方、運営に伴う負担が大きく感じられる場合には休止につながる傾向が見られました。また、CSAを導入した目的や地域条件の違いによって、消費者の関わり方や運営のあり方が異なり、それらが継続性に影響していることが示唆されました。

展示では、論文の分析結果をただ示すだけではなく、調査の中で語られた言葉や、CSAの現場で生まれている関係性のあり方が伝わるよう構成しています。CSAという仕組みを通して、「農業を続けること」や「地域の中で支え合う関係」とは何かを考えるきっかけになれば幸いです。
また、調査の過程で実際に現地を訪れ畑に足を運び、収穫物を受け取り、食べるという経験を重ねる中で、単なる農産物の購入ではない、日常の中にある関係の積み重ねに触れてきました。論文には書ききれなかった、そうした時間や風景も含めて、CSAの魅力を感じています。

最後に、調査にご協力いただいたCSAの運営者・会員の皆様、籔谷先生をはじめ研究室の皆さん、展示制作を支えてくださった方々に、心より感謝申し上げます。

会期|
2026年2月27日(金)〜 3月7日(日)9:30〜17:00(入館入場は16:30まで)
※2月2日(月)は休館

会場|
第1会場:高岡市美術館、第2会場:富山大学高岡キャンパス