「GEIBUN16」 卒業・修了研究制作紹介 No.2 安倍ひより
2025.02.10
人文社会芸術総合研究科 修士2年 安倍 ひより
私は、「まちを見る感性」を育むまち歩きプログラムの開発と評価-地域愛着及び主観的幸福感への影響に着目して-」といったタイトルで修了研究に取り組みました。
本研究の成果を高岡市美術館にて展示しています。
本研究は、地域愛着及び主観的幸福感の向上を目的とした、まち歩きプログラムの開発とその評価を行うものです。特に、まち歩きにおけるまちの見方の違いが地域愛着や主観的幸福感にどのような影響を与えるかに着目し、その見方の違いを生み出す働きを「まちを見る感性」と定義しました。本研究では、「まちを見る感性」が地域愛着や主観的幸福感の向上にどのように影響を与えるのかを検証したうえで、「まちを見る感性」を育むことを目的としたまち歩きプログラムを開発し、その評価を行いました。
その結果、「まちを見る感性」の中でも、まちで見たものに対して『想像を働かせる』ことが、地域愛着の向上に寄与することが明らかになりました。また、この知見に基づき、「まちを見る感性」を育むために、まちの中で見過ごしがちなものにも目を向けたり、まちで見たものに対して想像や再考を促進する仕組みを取り入れたプログラム「総曲輪のまちを歩いて、みんなの私視点地図を作ろう」を実践しました。プログラムの参加者への調査の結果、地域愛着および主観的幸福感の向上が確認され、本プログラムが効果を持ち得ることが分かりました。
この研究は、大学時代の経験の中でまちの見方が変化したことによって、地域に対する意識や幸福感が高まったという実体験から始まりました。まちの中に残る昔から続いてきているであろうお店を見かけると、その土地の昔の様子を想像したくなったり、まちの中で見たものからそのまちがどのようなまちなのか、自分なりに考えることが私は好きです。
そんなまちの見方をするようになったのは大学3年生の頃ですが、そういったまちの見方の変化が、地域に対する意識や自身の幸福感に影響を与えたと感じています。もっとみんながまちに興味を持ったら、まちにとっても、自分にとっても良いことがあるんじゃないかということは研究を行う前からずっと思っていたことで、自分自身の考えに通づることを学術的に明らかにできたこと、また、プログラムを通して参加者の方々に体験してもらえたことがとても嬉しく思います。
研究と聞くとなんだか難しいように感じるかもしれませんが、見る人にできるだけ分かりやすく伝え、楽しんでもらえるような展示を目指しました。ぜひご覧いただけると嬉しいです!
(飛び出し看板風パネルとの記念撮影も大歓迎です)




(文:安倍ひより)
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会期|
2025年2月8日(土)〜 2月16日(日)9:30〜17:00(入館入場は16:30まで)
※2月10日(月)は休館
会場|
第1会場:高岡市美術館、第2会場:富山大学高岡キャンパス